こんにちは。今回はドイツ語の命令形(Imperativ)について学習します。
命令形とは、聞き手に命令や指示をするときに使用される用法です。
これまでのLektionでドイツ語は人称によって動詞が変化することは覚えていただけたと思います。命令形の変化の仕方と文法は少し特殊なので、注意して学習していきましょう。
1. ドイツ語の命令形
命令形についてわかっている方も多いとは思いますが、そもそも命令形とは何かについて最初に説明します。
命令形は、「聞き手」に命令や指示を出すときに用いられます。「〜しなさい!」、「〜して下さい!」と言うような表現ですね。
「聞き手」とは、直接対話をする相手=2人称(君、あなた、君達、あなた達)のことです。
つまりドイツ語の命令形は、2人称である、du / ihr / Sieに向けてのみ使われるということになります。
ドイツ語は人称によって常に動詞が変化しますが、命令形に関しても同様に、du, ihr, Sieの誰に対して使うかによって動詞が人称変化します。3種類の命令形があると言うことです。
次の章で、命令形の作り方について説明していきますね!
2. 命令形の作り方
命令形の基本的なルール
先ほども述べましたが、命令形はdu / ihr / Sieのみに使用されます。
まずは、du / ihr/ Sieに対する命令文を見てみましょう。
- Mach deine Hausaufgabe! (duに対する命令文)
- Macht eure Hausaufgabe! (ihrに対する命令文)
- Machen Sie Ihre Hausaufgabe! (Sieに対する命令文)
すべての命令形で共通の大切なルールは、動詞が文の先頭におかれ、文の最後はピリオドではなく感嘆符(!)がおかれるということです。そして、du / ihrに対する命令文では主語は省略され、Sieの時は省略されません。注意しましょう。
3つの命令形について、もう少し詳しく説明していきます。
① duに対する命令形
Mach(e) deine Hausaufgabe!
duに対しては、machenの語幹である”Mach”が文の先頭に来ます。Macheと言うように、「語幹+e」となることもありますが、”e”はしばしば省略されます。
いくつか例を挙げてみます。
kommen → Komm(e) schnell! (早く来なさい!)
gehen → Geh(e)schnell! (早く行きなさい!)
trinken → Trink(e) schnell! (早く飲みなさい!)
schlafen →Schlaf(e) schnell! (早く寝なさい!)
例外として、現在人称変化の際に、du, er / sie / esが主語の時に e→i, ieと変化する不規則変化動詞の場合、duの現在人称変化から、-stを省いた形になります。(sprechen, helfen, essenなど)
例えば、sprechenの現在人称変化は、du sprichst/ er spricht であり、e→iと変化します。この場合、命令形は、Sprich! となります。
同様にhelfenの場合は、 現在人称変化はdu hilfst / er hilftであり、命令形は、 Hilf!となります。
不規則変化する動詞は、duの命令形の場合に注意が必要なのです!
② ihrに対する命令形
Macht eure Hausaufgabe!
Ihrに対する命令形は簡単で、先頭に来る動詞は、現在人称変化と同じ「語幹+t」の形です。
また、duの時と同じく主語は省略します。
Kommt schnell!
Geht schnell!
Trinkt schnell!
Schlaft schnell!
Sprecht laut!
Helft mir!
duとihrは”t”がつくかどうかの違いしかないので、最初は間違えやすいです。気を付けて覚えましょう。
③ Sieに対する命令形
Machen Sie Ihre Hausaufgabe!
Sieに対する命令形は、動詞は「語幹+en」の形で文頭に置かれ、主語は省略しません。
Kommen Sie schnell! (急いで来てください!)
Gehen Sie schnell! (急いで行ってください!)
Trinken Sie schnell! (急いで飲んでください!)
以上、3つの命令形の作り方を説明しました。初めは難しいように感じますが、現在人称変化を覚えていればそこまで難しくない内容だと思います。
3. 動詞 “sein” の命令形
残念ながらドイツ語の人称変化は不規則なものも多いです。高いレベルの人でも間違えることは多いのですが、動詞が出てくるたびに人称変化をチェックする癖をつけておくとなにかと便利だと思います。
よく使用する動詞で覚えておくと便利なものに sein、haben、werden があります。Lektion 3 でこれらの動詞の現在人称変化を学習していただきました。
この中でseinは、命令形においても特殊変化をします。通常の変化とは異なるのでしっかりと覚えていきましょう。
<seinの命令形>
- duに対する命令形 : Sei
(例文) Sei ruhig! (静かにしていなさい) - ihrに対する命令形 : Seid
(例文) Seid ruhig! - Sieに対する命令形 : Seien
(例文) Seien Sie ruhig!
※ ruhig 静かな
seinを使った命令形も多く存在しますので、しっかりと覚えてくださいね。
ここで一覧表を貼っておきます。ここまでの内容を一覧表を使って復習しましょう!
4. 丁寧な命令形
最後に、丁寧な命令形について説明します。
命令形とはいっても、常に「~しろ!」というように使われるわけではありません。人に頼みごとをするときは日本語でも、様々な言い方ができますよね。
ドイツ語では基本的にbitteを使うと丁寧な言い方になります。bitteは英語のpleaseだと思っていただければ理解しやすいと思います。
ドイツ語 (du) の例文と共に、日本語での意味の違いに注目しながら見てみましょう。
Mach die Tür zu! (ドアを閉めて!)
Mach bitte die Tür zu! (ドアを閉めてください。)
Mach bitte mal die Tür zu! (ドアを閉めてもらえますか。)
Mach doch bitte mal die Tür zu! (ドアを閉めていただけませんか。)
日本語でも丁寧に頼む際は文章が長くなるのと同様に、ドイツ語も丁寧になればなるほど文章が長くなる傾向があります。
5. 問題
それでは命令形の問題にチャレンジしましょう!!
カッコの中の人称に対する命令形にしてください。
【問題】
- ( ) zu mir! (du)
私のところに来て! - ( )bitte das Fenster auf! (du)
窓を開けてもらえる? - ( ) leise. (ihr)
小さな声で話して! - ( ) Sie wenige Zucker! (Sie)
たくさん砂糖を食べないでください! - ( )Deutsch! (du)
ドイツ語を話して! - ( ) Sie bitte noch einmal! (Sie)
もう一度言ってもらえますか? - ( ) deine Telefonnummer!(du)
君の電話番号を書いて! - ( ) jetzt die Hausaufgaben! (ihr)
今宿題をやりなさい! - ( ) ruhig bitte! (du)
静かにしてもらえる? - ( )Sie vorsichtig! (Sie)
気をつけて!
【解答】
- Komm(e) 2. Mach(e) 3. Sprecht 4. Essen 5. Sprich 6. Sagen 7. Schreib 8. Macht 9. Sei 10. Seien
6. まとめ
今回は命令形を学びました。du/ ihr/ Sieに対する3種類の命令形をしっかりと身につけましょう!
命令形は、日常会話でもよく使われるので覚えておいた方が良いです。ちょっとしたお願いにも使えるので会話の幅が広がりますよ!
次回はLektion9「疑問文」を勉強します!お楽しみに。
Auf Wiedersehen!!
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