こんにちは。Naschkatzen(@Naschkatzen1)です。
今回はドイツ語の「否定形」に焦点を当てて、使い分け方法を学んでいきましょう!
ドイツ語の否定語には、「kein」と「nicht」あります。
ドイツ語では、この2つの否定語を使い分ける必要があります。
その使い方は少し複雑なので、違いに注目しながら学習していきましょう!
1. “kein” の使い方
“kein” は名詞の前につき、その「名詞」を否定する言葉です。
以下の例文を見てください。
Ich habe eine Frage. (質問がある。)
Ich habe keine Frage. (質問はない。)
このように、冠詞を “kein” にすることで、否定文を作ることができます。
ただ、ドイツ語は「冠詞の変化」に注意しなければなりません。
“kein” の変化は不定冠詞 (Indefiniter Artikel) の変化と同様なので、「k + 不定冠詞」と変化を覚えてもよいかと思います。
冠詞の格変化を復習したい方は、Lektion15を見てくださいね。
また、名詞の前に形容詞がつくことがありますよね。その場合も否定語に「kein」を使います。
こちらの例文を見てください。
Heute ist ein schöner Tag. (今日は幸せな一日だ。)
Heute ist kein schöner Tag. (今日は最悪な日だ。)
このように、「形容詞+名詞」の前について、形容詞を含む名詞全体を否定しています。
“kein” に関しては、とにかく「名詞の前につき、名詞全体を否定する」ということを覚えておきましょう。
2. “nicht”の使い方
“nicht” は “kein” に比べると少しわかりにくいです。
基本的に、“nicht”は、「否定したい単語の前」に置かれます。
それでは、”nicht”が使われる場合の具体例を確認していきます。
1 定冠詞 (definiter Artikel)
先ほど名詞を否定したいときは、”kein” をその名詞の前につけると説明しましたが、例外があります。それは、「定冠詞」のつく名詞を否定したいときです。
こちらも例文を見ながら、それぞれの違いについて説明いたします。
Ich esse einen Käsekuchen. (チーズケーキを一切れ食べる。)
Ich esse keinen Käsekuchen. (チーズケーキを食べない。)
Ich esse nicht den Käsekuchen. (そのチーズケーキを食べない。)
日本語でみると、違いが一目瞭然ですよね。
“kein” を使うとすべてのチーズケーキを食べないということになります。
一方、 ”nicht”を使って定冠詞をつく名詞(ここではden Käsekuchen)を否定する文では、そこにある特定のチーズケーキを食べない、という表現になります。(例えば、他の美味しそうなチーズケーキなら食べる)
このように、定冠詞の前に”nicht”を置くと、特定化された名詞を否定することになります。
2 所有冠詞(所有代名詞) (Possessivartikel)
前回の Lektion 16 で所有冠詞(所有代名詞)を勉強しましたね。
所有冠詞を否定する場合も、”nicht” を使います。
Du kochst ein Essen. (君は食事を作る。)
Du kochst mein Essen. (君は私の食事を作る。)
Du kochst nicht mein Essen. (君は私の食事を作らない。)
所有代名詞を否定することによって、その所有代名詞の名詞だけを否定します。上記の例文のように、「君は食事は作るけど、私の食事は作らない。」つまり、「私以外」には食事を作る可能性があるということです。
3 動詞 (Verb)
次は動詞を否定するパターンです。
Ich kann Deutsch sprechen. (ドイツ語を話せる。)
Ich kann Deutsch nicht sprechen. (ドイツ語を話せない。)
Ich kann nicht Deutsch sprechen. (ドイツ語は話せない。)
“nicht” の位置によって日本語の意味も変化することが、この例文からわかると思います。
名詞を否定しているのか、動詞を否定しているのかで微妙にニュアンスが異なります。自分が言いたい文になるように、どこを否定すればよいのかチェックしましょう。
先ほども述べた通り、基本的には否定する言葉の直前に”nicht”を置きましょう。
4 前置詞 (Präposition)
次に前置詞を伴う文を見てみましょう。
Ich bin im Hauptbahnhof. (中央駅にいる。)
Ich bin nicht im Hauptbahnhof. (中央駅にいない。)
Wir gehen ins Kino. (私たちは映画館に行く。)
Wir gehen nicht ins Kino. (私たちは映画館に行かない。)
前置詞の前に “nicht” をおくと、前置詞以降を否定できます。
ドイツ語は場所を表すときに、前置詞を使うことが多いので、都市名や場所を否定したいときによく使われますね。
5 固有代名詞 (Eigenname)
固有代名詞とは、人名や地名など、それのみに与えられた名称を示します。
Sie ist Ann. (彼女はアンだ。)
Sie ist nicht Ann. (彼女はアンではない。)
“Ann” は人名のため、他の名詞に言い換えることができませんよね。このような場合に、人名 (固有代名詞) の前に “nicht” をもってきて、否定することができます。
6 副詞 (Adverb)
副詞は形容詞や動詞に意味を持たせるものです。
Sie hat viel Bonbons gegessen. (彼女はたくさんの飴を食べた。)
Sie hat nicht viel Bonbons gegessen. (彼女はたくさん飴を食べていない。)
過去分詞形が例文で使われていますが、この用法はまた他のLektionで学習していくので、まずは “nicht” にだけ注目しましょう。
“viel” (多くの) という副詞の前におくことで、副詞全体を否定することができます。
7 形容詞 (Adjektiv)
最後の用法は形容詞の前に “nicht” を持ってきます。
Die Jacke ist gut. (そのジャケットはいい。)
Die Jacke ist nicht gut. (そのジャケットはよくない。)
“nicht gut” はとてもよく使われる表現となります。
Wie geht es dir? 聞かれたときに、
Mir geht es gut. (元気)
/ Mir geht es nicht gut. (元気ではない)
と挨拶の際によく使用されていますよね。
この “nicht” の使い方が形容詞の否定となります。
3. まとめ
今回は、keinとnichtの使い分けについて学習しました。
“kein” は定冠詞がつかない名詞の前に使用されます。名詞以外と一緒には使えないので、このポイントをしっかりと覚えていきましょう。
“nicht” に関しては用法がいろいろあるので、どこに “nicht” をおけばよいか最初は迷うかもしれませんが、基本的には否定したい単語の前におくと思っていただければ大丈夫です。
4. 問題
それでは問題にチェレンジしましょう。
keinは、格変化に注意してくださいね。
<keinに関する問題>
- Ich habe leider( )Zeit.
私には残念ながら時間がありません。 - Wir haben ( )Lust, ins Café zu gehen.
私たちは、カフェにいく気持ちがありません。 - 彼はビールを飲みません。
Er trinkt ( ) Bier. - Hast du einen Kugelschreiber? – Nein, ich habe( )Kugelschreiber.
君はボールペン持ってる?ーいいえ、ボールペンは持っていないよ。 - Das ist ( )gute Idee.
それは良くない考えだ。
解答:1. keine 2. keine 3. kein 4. keinen 5. keine
<nichtに関する問題>
- 彼らは映画館に行かない。
- 私はその本を探してはいない。
- その車は新しくない。
- ここで喫煙してはいけません。(manを主語。喫煙する:rauchen)
- これは、私の携帯電話ではないです。
解答:
- Sie gehen nicht ins Kino.
- Ich suche nicht das Buch.
- Das Auto ist nicht neu.
- Man darf hier nicht rauchen.
- Das ist nicht mein Handy.
今日のLektionはここまで。お疲れ様でした!
次回は、Lektion18「否定語」を勉強します。お楽しみに!!
Auf Wiedersehen!
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