こんにちは。前回は話法の助動詞 (Modalverb) について学習してきました。
今回のテーマは分離動詞についてです。
分離動詞は英語にはない概念なので、最初は理解するのが難しいかとは思います。分離動詞を理解するうえでポイントとなる箇所を説明していくので、それを参考にしていただければと思います。
分離動詞は使い方が少し複雑ですが、日常よく使われる単語の中にも多く存在しますよ!
1. 分離動詞とは
分離動詞は主にドイツ語とオランダ語にみられる、動詞の種類となります。
言葉の通り、動詞が2つのパートから構成されています。2つのパートと聞いてもどういうものか想像しにくいと思うので、具体的に見てみましょう。
代表的な分離動詞にankommen (到着する) があげられます。辞書で調べていただくとわかると思いますが、通常はan | kommenと表示されています。
このように”an”の部分と”kommen”の部分で分かれるような動詞のことを分離動詞といいます。”an”のような部分を前つづり (Präfix ) と”kommen”の部分を語根 (Wurzel) といいます。
1つの動詞に様々な種類の前つづりを付け加えることで、新しい単語を作り出しているのです。
2. 分離動詞の使用方法
分離動詞の使い方には注意が必要です。
分離動詞はan|kommenのように、2つのパートから構成されています。
ドイツ語の動詞は必ず文の2番目におかれるというルールをすでに学んでいただきましたが、分離動詞は2つのパートに分かれているので、文の中で2つの部分に分かれます。
2つの部分とはどう言うことでしょうか。
先程のan|kommen(到着する)を使った例文を見てみましょう。
Ich komme zu Hause an.
Du kommst zu Hause an.
Er / Sie kommt zu Hause an.
Wir kommen zu Hause an.
Ihr kommt zu Hause an.
Sie kommen zu Hause an.
ご覧のように、”an”と”kommen”が2つの部分に「分離」しています。このように一つの動詞が、文の中で分離して配置されるもの、それが分離動詞です。
また、例文を見ると
・“kommen“の部分が文の2番目に置かれ、”an“の部分が文の最後におかれる
・“kommen”の部分は人称変化するが、an (前つづり) は変化しない
ことがわかります。
もう一つ、auf|stehen(起床する)の例を見てみましょう。
Ich stehe um 6 Uhr auf.
Du stehst um 6 Uhr auf.
Er / Sie steht um 6 Uhr auf.
Wir stehen um 6 Uhr auf.
Ihr steht um 6 Uhr auf.
Sie stehen um 6 Uhr auf.
同様に、”stehen”の部分が文の2番目に置かれて人称変化し、前つづりの”auf”が文の最後に置かれていますね。
長い文章を読む際には、2番目におかれていいる動詞で意味を判断せずに、最後まで一通り読んで分離動詞かどうかを確認していくとよいですね!
3. 助動詞とセットで使用する場合
Lektion 5と6で話法の助動詞について学習しました。では、助動詞と分離動詞をセットで使用する場合、どのような用法になるのでしょうか。
まずは、助動詞の使用方法について復習しましょう。
Ich kann Klavier spielen. のように、助動詞は必ず文の2番目におかれ、動詞は文の最後におかれるというルールがありましたよね。分離動詞を使用する場合も同じようにこのルールが適用されます。
助動詞の使用方法を復習したい方は、Lektion5と6を確認してください。
先ほどのankommenを例にみていきましょう。
助動詞のkönnenとセットで使用する場合、以下のような文章となります。
Ich kann zu Hause ankommen.
Du kannst zu Hause ankommen.
Er / Sie kann zu Hause ankommen.
Wir können zu Hause ankommen.
Ihr könnt zu Hause ankommen.
Sie können zu Hause ankommen.
このように、助動詞”können” のみ人称変化し、“ankommen”は原形のまま文の最後に配置されます。 ”an”と”kommen”は、スペースなく繋げて書きます。
先ほど、分離動詞は分離して配置されると教えました。ただし、助動詞とセットで使う場合は、助動詞のルール(助動詞が2番目、動詞は原形のまま文の最後に配置)が適用されるのです。
ついつい分けて書いてしまいそうになりますが、必ず助動詞を用いた文では文末に”ankommen”と繋げて書くようにしましょう。
4. 分離動詞のまとめ
それでは今回の分離動詞のまとめです。
分離動詞は前つづりと語根に分けられており、文中の用法は以下の通りでしたね。
<助動詞を用いらない場合>
- 動詞(語根)部分は、文の2番目に置かれて人称変化をする
- 前つづり部分は、文の最後に置かれる
<助動詞とセットで使われる場合>
- 助動詞が文の2番目に置かれて人称変化する
- 分離動詞は、原型のまま文の最後に置かれる
上記のルールが基本となりますので、忘れないようにしてください。
これまで学んだことを表にまとめてあるので、是非活用してください。
5. 覚えておきたい分離動詞
ドイツ語の分離動詞は相当な数がありますが、まず覚えていただきたい分離動詞を紹介します。どの分離動詞も日常でよく使われます。声に出して覚えてくださいね。
・an|fangen (始まる)
Der Film fängt um 13 Uhr an. (映画は13時に始まる)
・an|machen(スイッチを入れる)
Er macht den Computer an. (彼はコンピューターをつける)
・an|rufen (電話をかける)
Heute Abend rufe ich dich an. (今日の夜、私は君に電話する)
・auf|machen(開ける)
Er macht das Fenster auf. (彼は窓を開ける)
・auf|stehen (起床する)
Ich stehe jeden Tag um 7 Uhr auf. (私は毎日7時に起きる)
・aus|machen(スイッチを消す)
Du machst das Radio aus. (君はラジオを消す)
・aus|steigen(下車する)
Wir müssen in Köln aussteigen.(私たちはケルンで下車しなければならない)
・ein|kaufen(買い物をする)
Ich kaufe Eier und Milch ein. (私は卵と牛乳を買う)
・ein|laden (〜を招待する)
Sie lädt uns zur Party ein. (彼女は私たちをパーティーに招待する)
・fern|sehen(テレビを見る)
Jeden Tag sehe ich fern. (私は毎日テレビを見る)
・zu|machen(閉める)
Ich mache die Tür zu. (私はドアを閉める)
上記にあるように、machen(〜をする)と言う動詞が、anmachen(スイッチを入れる)、aufmachen(開ける)、ausmachen(スイッチを消す)など、前つづりによって意味が大きく変わることがわかっていただけたと思います。
似たような単語が多くて覚えづらいですが、全く新しい単語を覚えるよりは楽と考えることもできますね!
6. 練習問題
最後に分離動詞を使った問題にチャレンジしましょう!助動詞を含む問題もあるので注意してくださいね。
【問題】
1.Sie ( ) das Fenster ( ).
彼女は窓を閉める。
2. Ich ( ) im Supermarkt ( ).
私はスーパーで買い物をする。
3. Du ( ) die Tür ( ).
君はドアを開ける。
4. Wir ( ) das Fernsehen ( ).
私たちはテレビをつける。
5. Ihr ( ) in Tokio ( ).
あなたたちは東京で下車する。
6. Jeden Tag ( ) er ( ).
彼は毎日テレビを見る。
7. Morgen ( ) ich früh ( ).
明日私は早く起きなければならない。
8. Später ( ) ich dich ( ).
あとで私は君に連絡する。
9. Das Spiel ( ) um 14 Uhr ( ).
その試合は14時に始まる。
10. Ich ( ) dich zur Party ( ).
私は君をパーティーに招待することができる。
【解答】
- macht, zu 2. kaufe, ein 3. machst, auf 4. machen, an 5. steigt, aus 6. sieht fern 7. muss, aufstehen 8. rufe, an 9. fängt, an 10. kann, einladen.
7. まとめ
今回は分離動詞を学びました。いかがでしたか?
動詞が分離するということは、初めは慣れないと思います。それぞれの前つづりが意味を持つドイツ語ならではの特徴だと思います。
A1やA2で習う単語にの中にも、分離動詞は少しずつ出てきます。徐々に語彙を増やしていきましょう!
次回は、Lektion8「命令形」について勉強します!お楽しみに。
Auf Wiedersehen!!
コメント